机上に踊る胆と熱

中小企業診断士試験についての(役に立つ)所感

「解く」一次試験、「従う」二次試験

 経営者ではなくって、学者なんです。学者に提出するのが診断士試験に於ける二次です。ここを間違うと私みたく、かなりコジらせてしまいます。現時点ではそう、考えるでしょうかね。

 ところで「最近の子供は仮想現実(ゲーム)と現実の区別がついていない」とは、TV等を通じ人口に膾炙されてますが、出題者の学者だってもう(10年前のリーマンショックで死にかけた身からすれば)立派な子どもです。経営での仮想現実と現実の区別がついてるならば土建屋と小売との連携、こんなキラキラネームめいた方向性を満点答案なんかにゃせんのです。毎月決まった日に決まった額の給与が口座にポンッ、と振り込まれる生活を30年以上送っておられる方々ですし、土建屋経営者から見ればセレブ階級?な方々が出題者なんですけど彼等センセイが、体験ではなく脳内で考えた「事業経営」・・・・・・・・・これが二次では全てです。余計な仕事経験なんかございますと、そしてそれを解答欄なんかに書いちゃいますと、点数はあまり貰えません。そこでは「出題者は現場が分かっとらん!」なんて激怒しようが、ムダですし怒る人がアホなんです。模範解答は「女性社員のモラ~ル向上」なんですから仮想現実界のこの、意識高い系な解決策とやらに我々は、付き合う必要があります。そうですよね、モラール向上させればイイんですね、もうセンセイってばホント天才・・・・・・と心で唱えましょう。

 

 話はやや飛ぶかもしれませんが、「従う意識」です。これ、もう、ものスゴク重要です。解こうとか挑もうとか、してませんか?一年前の私はそうでした。「試験だから解くんだ」です。

 

 ちょっとした意識の差になりますけども、解こうとかかるとドツボにハマります。解こうとするから、編み出そうとするんです。第三段落のなんちゃら成形加工技術を、第十一段落の女性社員活用とからめて、なにが言えるか・・・・・・とか考え出すと、もう、ダメ。「第五段落までも絡めれば真因は、連携不足ではなく『製造第一課と品質管理課以外』にも要因ありなのでは?」なのであり、事業経験がある人ならば「単に連携の不足だけじゃナイよな」になりがちなんですが、それでもそう、「従う」んです・・・・・・・・・  

 設問要求に「従う」、模範解答の方向性に「従う」、異論を挟まずに「従う」・・・・・・・なぜならこの場は、審査員絶対なんです。いくら視聴者(=リアル経営者)から称賛を得ようともお仲間界の重鎮に認められなきゃ、芸人にはなれんのです。一般人にバカ受けしててもオール巨人師匠から「品がないヤクザな芸だ」、そう言われたら即、退出を強いられる世界なんです。「そんな解答いらんのや!そこは、モラール向上やろうが!」・・・・ここは反論するよりも先ずは我々、師匠を称賛することから始めましょう。そして当面は「モラ~ル向上で組織活性化」を(笑いを堪えながら)解答欄に記入して、立派なお笑い芸人になることを目標としましょう。 (文中お笑い芸人を「中小企業診断士」に訂正します)

 従うのです。なぜならこの場を支配してんのは、リアル経営者ではなく重鎮「経営学者」な先生方なのですから。


提出先を間違う = コジらせる

 

 

 診断士・二次試験ですけれどもコジらせますよね、突然ですが。

 私の場合は二次試験、14カ月を投下したんですけれども、その内12カ月は、そんな状態でした・・・・・もう「なにがナンだか解んない」という、ね。そんな感じです。そして、さらに突然ですが、ココで問題です。以下問題の空欄を埋めてください。

 

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【問題】

中小企業診断士・二次試験とは、(      )に対して提出する経営診断報告書である。

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 はい、この問題なんですけどココで、この空欄に、「社長さん」とか入れちゃってる間はこの試験、コジらせます。少なくとも経験談では、そう言えるんですけども本日は、そんなお話です。  

 ところで診断士試験の二次ですが、学習していると「なんでコレが正解なんだろう」てな模範解答に、遭遇することが多いですよね。A社の課題を問われた際に、ですよ・・・・・与件文を読んで例えば、設問をあたる際に「ええと『社員の長期雇用のため』が設問要求で、正規社員と比べて非正規社員が多いからA社は、社長へ診断書を提出するならば、ええと」とか考え始めて、「この社長はたぶん、お金にウルサイ人なんだろう。だから非正規雇って人件費をウカせようーとかしてんだろう、だから」になり、そして「だから、ええと、長期雇用の課題は」てな方向に思考がイクんです。「ええと、緊張するなあ、どう、伝えればイイんだろう」で思考グルグルになりますが、なにせ二次試験とは、ダダンッ、

 

「社長へ提出する診断書です」(キリッ)

 

 とこう、言われて(脅されて)いるわけです。緊張感ゆえに社長さんに対し真面目な方ほど、解答を細かくいこうとか、スルんですよね。だって、そうですよね何せ、社長へ提出するんだもの。中小企業の命運がかかってますし、「相当細かくエレガントなソリューションを書かないと」になるってば、思考はどうしても。そうでしょう?そうですよね。

 なのに、でも、ああなんで、どーして・・・・・以下は涙なしには読めないんですが模範解答には、「組織文化の活性化を図る」とかが正解になっており、「ええ!?」になるという・・・・・・・・・この「ええ!?」は経験者ならば、解りますよね。ドレミファで云えば〝シ〟音階くらいの「ええ!?」であり、「答えってこんな程度でイイの!?」という衝撃波を伴います。正解ですが、しかも満点の模範解答ですが、そこに漂うアッサリ感が、ハンパない・・・・・それがこの試験なんですよね。  

 それでは、空欄に埋める言葉はいったい、何でしょうか。答えにいく前に関連する余談などを披露しましょう。

 先日、経営者仲間を訪れた診断士クンがいたんです。そしてココに、経営者と二次試験正解との間の、ギャップの一端を見るんですけども、さて、この診断士クンですが、知人経営者を1時間ヒアリングして後、キリッとした表情で「社長」と、こんな提案をしてきたんだそうです。

 

「社長、御社は解決策として、名刺に、

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・顔写真を入れましょう」

 

  ・・・・・事例IIかっ、さつまあげ事例かっ。なんですが「これでカネ取るのか」と経営者友人は爆笑してましたけれでも、ま、これ、二次試験では正解ですよね。でも正解は正解でもそのレベルを「具体的ソリューション」とか思いこんでいる受験生がもしもあらば、そいつは中小企業社長を、ナメ過ぎてます。それでもこれが、正解になる世界が二次なんでして我々はこんな、あっさり感に悩むという。あるいは解決策として「ニーズ収集とぉ〜適切な市場選択ですよぉ〜」なんて言ってりゃ試験としては正解でも社長にすれば、「そんな事は分かってんのよ」に、なると思います。「そのニーズ収集と適切な市場選択だけど、そんなことは分かってんの。でも、その方法が分かんないで困ってる」「あんたから教えてもらいたいのは、どーすりゃ出来るのかの、具体的アドバイス

 ・・・少なくとも私はそう聞き返すでしょうし、経営者仲間も同じ事を、聞き返すと思うんです。

 飛び飛び話をまとめますがあの、「二次試験とは」に関する呪縛、つまり、「社長が実行可能なものを提案する。これこそが、二次試験」と言う思い込みですが、これを脱する事が試験直前2カ月の私の課題になってました。この思い込みに囚われてる間は、すなわち「社長が読むんだ、社長へ提出する提言だ」な方向を追い求めたりすると、制限時間も字数も足りなくなると言う、そんな試験と化していたわけです。「二次試験とは中小企業社長への提案書である」・・・・・・そう言われてましたんで今までの私は、例えば解答をする際に踏み込んだ内容を志向してました。つまり、模範解答からすると、かなり飛んでいたワケです。詳しくのべれば模範解答レベルでは社長から笑われる、と判断しもう少し踏み込んで解答欄に、「ニーズを把握するための具体案」とか「得意技術を活かせる具体的市場名+その理由」とか、そんな事を記述しようとしてたんですね。そして結果、制限字数や時間に追われてたと言う・・・  模範解答はあっさりしてんのに。

 

 話は最終章です。そして正解の発表です。空欄内に入る言葉ですが正解は、社長ではなく「学者」です。提出先を間違えますと、この試験はコジらせます。そして本日のお話は、ここまで。

他人ではなく「自分のキモチ」を踏みにじろう。

 

 ヤル気不要論を説きますよ、今からね。ヤル気なんてものはこの試験では、不要です。いやね、よくいるでしょう、モチヴェーションですが「なかなかつづかないんデス」系の方。(オレを含む)そんな方々に敢えて伝えたいのは、ヤル気等の自分のキモチですけど「そんなに必要なものなんですか」と。―― そんなに重視しなきゃいけないものですかね。自分のキモチとやらですがこの辺を今回は、整理してみたい。

 ところで企業経営者は、月末の支手決済をどう対処するのかご存知ですか。

 月末に2,000万円の手形決済を迎えるとしましょうか。けど、口座には現在、100万円しかありません。そんな状況です。そして云う間でもなく残り1,900万を用意しなきゃ倒産、しちゃうわけなんですがさて、この際に採られる経営者の態度は、かなり参考になります。彼等経営者ですけどいったい、どうするのかと云いますとその答えは、「ただヤル」です。

 

 もう、それだけ。それしかない。

 

 ただヤルんです。手形期日を、守るんです。

 

 「ヤル気が湧かないんです!だから、ヤル気を出す方法をクダサイ!」「なんちゃら理論のモチベアップ技術を参考に!ヤル気をアップさせて!」なんてこと言っているその間にも、ほら、2,000万円の手形決済期日は迫ってくるのです。ですからね、もう、そんな状態でやるべき事は、ヤル気スイッチの場所を探すことじゃナイんです。不足分の現ナマ集めになるんです、取り掛かることってのは。だって、そうでしょ?

 そして、それこそが唯一有効です。探すのはヤル気ではなく現ナマ、ここが重要なんですけど経営者は問題対処の最中ですが、「そこにヤル気なんてナイ」んです。誰が熱意を持てますかって、そんな、「おカネ貸してよ~」なんて頭さげる仕事に。

 一次・二次試験の本番は、受験生にとっての支払手形の決済日に当たります。この日、答案用紙と云う名の〝口座〟に、決済条件を満たす知識を入金しておく必要があるんです。ヤル気の有無ではなく必要なのは、6割ゲット可能な知識量なんです。いやね、そんなルールになってんのに、どーしてそんな「ヤル気湧かね~」な自意識に、生真面目に付き合う必要があるんでしょうかね。そしてその、自分のキモチってヤツに対し、ですよ、うやうやしく頭を下げて、ご機嫌を伺いながらどーしてお願いをせにゃならんと、云うのでしょうか。「お願いです、ヤル気を出してください」と・・・・・よくよく考えてみると、かなりバカバカしい行為です。

 ヤル気湧かせてくれたら勉強をしてやる、そういうキモチに向かって縷々切々と「勉強をしなきゃイケナイ理由」とやらを説明、我々は必死でやりますけどもそもそも、そこまで相手にせにゃならんヤツではないはずなんです。「ふむ!よく解った!それでは勉強をしてあげる」とするそのキモチって、ホンモノの自分なんでしょうかね。釈尊が虚仮(こけ)と表したニセモノの自分、コイツを「ふむ!」と納得させなきゃ支手決済やお勉強、条件を満たせないとでも言うのかい?・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・ところでこの種のヤル気不要論を説きますとね、必ず「ツラくなりませんか?」と聞かれます。答えは「そりゃツライよ」ですけど、でもね、「ツラくなりませんか?」と聞いてくる自分のキモチには、「ツラかったらなにか不都合でもあるのか?」と問い返しますね。「お前はこの世に、お客さんとして来てんのか?」とも、問い返したくなります。「そのお客さん意識はいったい、何なんだ」とも・・・・・・・・・・いやね、つまり、お客さん意識なんですよ、その、「ツライ事が起こる=悪」みたいな思想はね。新興宗教よりも性質が悪いですよ、大げさではナクね。

 当事者意識とは何でしょう。経営者なら期日までに、必要な現金を口座に入金することなんです。そして受験生ならば試験の日までに、必要な知識を身に付けておくことなんです。だから、先ず以ってお客さんであることを降りるのですよ、自分の人生に於いて。さっきも言いましたがそんなにも、大切なモンでしょうね、「自分のキモチ」とやらですが・・・・・・・・

 まとめに入りますけども、お客さん意識を持ったままだからツライんですよ。オレ様は世の中から、良くされてアタリマエなのだ、な、お客さん意識を持ったままだから、ツライんです。6割ゲットよりも「自分のキモチ」なんてモンに優先順位、高く付けちゃうからツライんです。心がさめざめと波を打つあの、不安状態を脱するのっていったい、そこまで大切なモノなんでしょうか。勉強とか支手決済がなきゃ自分のキモチはまあ、動揺することはないですけども、それでも、動揺してるキモチ状態がいったい、何だと言うのだ。動揺するなら、動揺したままで良いではないか。まして「心が折れる」っていったい何だ。折れたなら、折れたままヤレばいいじゃねーか・・・・・そうは思いませんか。

 疲れたらダメ、興味が湧かなきゃダメ、面倒はダメ、キモチが乗らなきゃダメ、そんなものを我々は「自分のキモチ」と表してます。そしてそんな、ニセモノを説得しようと連日、格闘するワケですがそもそも、相手にしなくてもイイんです。そしてそんな、サボりたくなるキモチとは間違っても、勝負してはいけません。「無視するに限る」ってなお話なんです、これ。他人の気持ちは平気で踏みにじるクセに、我々はこの「自分のキモチ」とやらをどうして、そこまで重要視するんだろうか。そしてどうして、踏みにじれないんだろうか。踏みにじるべきは他人ではなく、自分のキモチでしょうに。

平成30年 事例III 与件本文

【C社の概要】

  C社は、1974年の創業以来、大手電気・電子部品メーカー数社を顧客(以下「顧客企業」という)に、電気・電子部品のプラスチック射出成型加工を営む中小企業である。従業員数60名、年商約9億円、会社組織は総務部、製造部で構成されている。

  プラスチック射出成型加工(以下「成型加工」という)は、プラスチックの材料を加熱融解し、金型内に加圧注入して、固化させて成型を行う加工方法である。C社では創業当初、顧客企業から金型の支給を受けて、成型加工を行っていた。

 C社は、住工混在地域に立地していたが、1980年、C社同様の立地環境にあった他の中小企業とともに高度化資金を活用して工業団地に移転した。この工業団地には、現在、金属プレス加工、プラスチック加工、コネクター加工、プリント基板製作などの電気・電子部品に関する中小企業が多く立地している。

 C社のプラスチック射出成型加工製品(以下「成型加工品」という)は、顧客企業で電気・電子部品に組み立てられ、その後、家電メーカーに納品されて家電製品の一部になる。主に量産する成型加工品を受注していたが、1990年代後半から顧客企業の生産工場の海外移転に伴い量産品の国内生産は減少し、主要顧客企業からの受注量の減少が続いた。

 こうした顧客企業の動向に対応した方策として、C社では金型設計と金型製作部門を新設し、製品図面によって注文を受け、金型の設計・製作から成型加工まで対応できる体制を社内に構築した。また、プラスチック成型や金型製作にかかる技能士などの資格取得者を養成し、さらにOJTによってスキルアップを図るなど加工技術力の強化を推進してきた。このように金型設計・製作部門を持ち、技術力を強化したことによって、材料歩留り向上や成型速度の改善など、顧客企業の成型加工品のコスト低減のノウハウを蓄積することができた。

 C社が立地する工業団地の中小企業も大手電気・電子部品メーカーを顧客としていたため、C社同様工業団地に移転後、顧客企業の海外移転に伴い経営難に遭遇した企業が多い。そこで工業団地組合が中心となり、技術交流会の定期開催、共同受注や共同開発の実施などお互いに助け合い、経営難を乗り越えてきた。C社は、この工業団地組合活動のリーダー的存在であった。

 近年、国内需要分の家電製品の生産が国内に戻る傾向があり、以前の国内生産品が戻りはじめた。それによって、C社ではどうにか安定した受注量を確保できる状態になったが、顧客企業からの1回の発注量が以前よりも少なく、受注量全体としては以前と同じレベルまでには戻っていない。

 最近C社は、成型加工の際に金属部品などを組み込んでしまう成型技術(インサート成型)を習得し、古くから取引のある顧客企業の1社からの受注に成功している。それまで他社の金属加工品とC社の成型加工品、そして顧客企業での両部品の組立という3社で分担していた工程が、C社の高度な成型技術によって金属加工品をC社の成型加工で組み込んで納品するため、顧客企業の工程数の短縮や納期の短縮、そしてコスト削減も図られることになる。

 

【生産概要】

 製造部は、生産管理課、金型製作課、成型加工課、品質管理課で構成されている。生産管理課は顧客企業との窓口になり生産計画の立案、資材購買管理、製品在庫管理を、金型製作課は金型設計・製作を、成型加工課は成型加工を、品質管理課は製品検査および品質保証をそれぞれ担当している。

 主要な顧客企業の成型加工品は、繰り返し発注され、毎日指定の数量を納品する。C社の受注量の半数を占める顧客企業X社からの発注については、毎週末の金曜日に翌週の月曜日から金曜日の確定納品計画が指示される。C社の生産管理課ではX社の確定納品計画に基づき、それにその他の顧客企業の受注分を加え、毎週金曜日に翌週の生産計画を確定する。日々の各製品の成型加工は、各設備の能力、稼働状況を考慮して原則週1回計画される。また、生産ロットサイズは長時間を要するプラスチック成型機(以下「成型機」という)の段取り時間を考慮して決定される。生産効率を上げるために生産ロットサイズは受注量よりも大きく計画され、製品在庫が過大である。C社の主要商品で、最も生産量が多いX社製品Aの今年7月2日(月)から7月31日(火)までの在庫数量推移を図1に示す。製品Aは、毎日600個前後の納品指定数である、C社の生産ロットサイズは約3,000個で週1回の生産を行っている。他の製品は、毎日の指定納品数量が少なく、変動することもあるため、製品A以上に在庫管理に苦慮している。

 成型加工課の作業は、作業者1人が2台の成型機を担当し、段取り作業、成型機のメンテナンスなどを担当している。また全ての成型機は作業者が金型をセットし材料供給してスタートを指示すれば、製品の取り出しも含め自動運転し、指示した加工を終了すると自動停止状態となる。

 図2で示す「成型機2台持ちのマン・マシン・チャート(現状)」は、製品Aの成型加工を担当している1人の作業者の作業内容である。

 成型機の段取り時間が長時間となっている主な原因は、金型、使用材料などを各置き場で探し、移動し、準備する作業に長時間要していることにある。図2で示す「成型機1の段取り作業内容の詳細」は、製品Aの成型加工作業者が、昼休み直後に行った製品Bのための段取り作業の内容である。金型は顧客からの支給品もまだあり、C社内で統一した識別コードがなく、また置き場も混乱していることから、成型加工課の中でもベテラン作業者しか探すことができない金型まである。また使用材料は、仕入先から材料倉庫に納品されるが、その都度納品位置が変わり探すことになる。

 顧客企業からは、短納期化、小ロット化、多品種少量化がますます要望される状況にあり、ジャストインタイムな生産に移行するため、C社では段取り作業時間の短縮などの改善によってそれに対応することを会社方針としている。

 その対策の一つとして、現在、生産管理のコンピュータ化を進めようとしているが、生産現場で効率的に運用するためには、成型加工課の作業者が効率よく金型、材料などを使用できるようにする必要があり、そのためにデータベース化などの社内準備を検討中である。

 

 

平成30年 事例II 与件本文

 B社は、X市市街中心部にある老舗日本旅館である。明治初期に創業し、約150年の歴史を持つ。2年前、父親である社長が急死し、民間企業に勤めていた30歳代後半の長男が急きょ事業を承継することになり、8代目社長に就任した。資本金は500万円、従業員は家族従業員3名、パート従業員4名である。このうち1名は、つい最近雇用した英語に堪能な従業員である。客室は全15室で、最大収容人員は50名、1人1泊朝食付き7,500円を基本プランとする。裏手には大型バス1台、乗用車6台分の駐車場がある。 

 簡素な朝食は提供しているものの、客室稼働率に上下があり食材のロスが発生するという理由と調理人の人件費を削減するという理由から、創業以来、夕食は提供していない。宿泊客から夕食を館内でとりたいという要望がある場合は、すぐそばにある地元の割烹料理店からの仕出しで対応している。これまで何度か小さな増改築を行ってきたが、現在の宿泊棟は築45年である。客室には基本的にずっと手を加えていない。畳と座卓、障子、天井吊り下げ式照明のある、布団を敷くタイプの古風な和室である。館内には大広間があり、その窓からは小ぶりだが和の風情がある苔むした庭園を眺めることができる。大浴場はないため、各部屋に洋式トイレとバスを設置している。歴代の社長たちは皆、芸術や文化への造詣が深く、執筆や創作のために長期滞在する作家や芸術家を支援してきた。このため、館内の廊下や共用スペースには、歴代の社長たちが支援してきた芸術家による美術品が随所に配置され、全体として小規模な施設ながら文化の香りに満ちた雰囲気である。この中には、海外でも名の知られた作家や芸術家もいる。

 X市は江戸時代から栄えた城下町である。明治時代までは県内随一の商都であり、教育や文化支援にも熱心な土地柄であった。X市市街地は、北側は城址付近に作られた官公庁街、東から南側にかけては名刹・古刹が点在する地域となっており、西側には商都の名残である広大な商業地域が広がっている。B社は創業時からちょうどこの中央に立地し、これらのエリアはいずれも徒歩圏内にある。B社から最寄り駅までは公共バスを利用して20分強かかるが、現在、この間を結ぶバスは平均すると1時間に5~6本程度運行している。この最寄り駅からは国内線と国際線の離発着がある空港に向けて毎日7往復の直通バスが走っており、駅から空港までの所要時間は1時間40分ほどである。

 X市市街地の中でも、商業地域の目抜き通りには江戸時代の豪商や明治時代の実業家が造り上げた厳かな大型建造物が立ち並ぶ。この通りは現在でも商業地域の顔である。400年以上続くとされる地域の祭りでは、市内各地を練り歩いてきた豪勢な何台もの山車がこの通りに集結するタイミングで最高の盛り上がりを見せる。夜通し続くこの祭りの見物客は近年、年々増加している。街の一角にはこの祭りの展示施設があり、ここを訪れた観光客は有料で山車を引く体験ができる。X市商業地域には、歴史を感じさせる大型建造物が残る一方、住民を対象にした店舗もたくさんある。普段遣いのお店から料亭、割烹料理店までのさまざまなタイプの飲食店をはじめ、各種食料品店、和装店、銭湯、劇場、地元の篤志家が建設した美術館などの施設が集積している。

 10年ほど前、X市の名刹と商業地域が高視聴率の連続ドラマの舞台となり、このエリアが一躍脚光を浴びた。これを機に、商業地域に拠点を持つ経営者層を中心として、このエリア一体の街並み整備を進めることになった。名刹は通年で夜間ライトアップを行い、地域の動きに協力した。地域ボランティアは観光案内や街の清掃活動を行い、美しい街並みと活気の維持に熱心である。こうした影響を受け、最近では、ほとんどいなかった夜間の滞在人口は増加傾向にある。

 X市は大都市圏とも近く、電車で2時間程度の日帰りできる距離にある。古き良き時代の日本を感じさせるX市の街のたたずまいは観光地として人気を集めている。2017年時点で、X市を訪れる観光客は全体で約500万人、このうち約20万人がインバウンド客である。商業地域には空き店舗があったが、観光客が回遊しそうな通り沿いの空き店舗には地元の老舗商店が出店して、シャッター通りにならないための協力体制を敷いた。食べ歩きできるスイーツや地域の伝統を思わせる和菓子などを販売し、街のにぎわい創出に努めた。歴史ある街並みに加え、こうした食べ物などは写真映えし、SNS投稿に向く。そのため、ここ数年は和の風情を求めるインバウンド客が急増している。

 一方、B社のビジネス手法は創業時からほとんど変わっていなかった。明治時代から仕事や執筆・創作活動のために訪れる宿泊客が常に一定数いたため、たいしたプロモーション活動を行う必要性がなかったのが理由である。それに気づいた8代目は就任して1年後、館内に無料Wi-Fiを導入し、B社ホームページも開設した。これにより、それまで電話のみで受け付けていた宿泊予約も、ホームページから外国語でも受け付けられるようになった。また、最低限のコミュニケーションが主要な外国語で図れるよう、従業員教育も始めた。

 B社から距離の離れた駅前にはチェーン系ビジネスホテルが2軒ほどあるが、X市市街地中心部にはB社以外に宿泊施設がない。かつてはB社と似たようなタイプの旅館もあったが、10年以上前に閉鎖している。B社周辺にある他の業種の店々は、拡大する観光需要をバネに、このところ高収益を上げていると聞く。B社だけがこの需要を享受できていない状態だ。

 8代目は事業承継したばかりで経営の先行きが不透明であるため、宿泊棟の改築などの大規模な投資は当面避けたいと考えている。既存客との関係を考えると、宿泊料金の値上げにも着手したくない。打てる手が限られる中、8代目が試しに従来の簡素な朝食を日本の朝が感じられる献立に切り替え、器にもこだわってみたところ、多くの宿泊客から喜びの声が聞かれた。こうした様子を目にした8代目は、経営刷新して営業を継続したいと考えるようになり、中小企業診断士にその方向性を相談した。

平成30年 事例I 与件本文

 A社は、資本金2,500万円、売上12億円のエレクトロニクス・メーカーである。役員5人を除く従業員数は約50名で、そのほとんどが正規社員である。代表取締役は、1970年代後半に同社を立ち上げたA社長である。現在のA社は電子機器開発に特化し、基本的に生産を他社に委託し、販売も信頼できる複数のパートナー企業に委託している、研究開発中心の企業である。この10年間は売上のおよそ6割を、複写機の再生品や複合機内部の部品、複写機用トナーなどの消耗品が占めている。そして、残りの4割を、同社が受託し独自で開発している食肉用のトレーサビリティ装置、業務用LED照明、追尾型太陽光発電システムなど、電子機器の部品から完成品に至る多様で幅広い製品が占めている。

 大手コンデンサーメーカーの技術者として経験を積んだ後、農業を主産業とする故郷に戻ったA社長は、近隣に進出していた国内大手電子メーカー向けの特注電子機器メーカーA社を創業した。その後、同社のコアテクノロジーであるセンサー技術が評価されるようになると、主力取引先以外の大手・中堅メーカーとの共同プロジェクトへの参画が増えたこともあって、気象衛星画像データの受信機や、カメラ一体型のイメージセンサーやコントローラーなど高精度の製品開発にも取り組むことになった。もっとも、当時は売上の8割近くを主力取引先向け電子機器製造に依存していた。

 しかし、順調に拡大してきた国内大手電子メーカーの特注電子機器事業が、1990年代初頭のバブル経済の崩壊によって急激な事業縮小を迫られると、A社の売上も大幅に落ち込んだ。経営を足元から揺るがされることになったA社は、農産物や加工食品などの検品装置や、発電後逸を高める太陽光発電システムなど、自社技術を応用した様々な新製品開発にチャレンジせざるを得ない状況に追い込まれた。

 平成不況が長引く中で、A社は存続をかけて、ニッチ市場に向けた製品を試行錯誤を重ねながら開発し、事業を継続してきた。もちろん開発した製品すべてが市場で受け入れられるわけもなく、継続的に安定した収入源としてA社の事業の柱となる製品を生み出すこともかなわなかった。そうした危機的状況が、A社長の製品開発に対する考え方を一変させることになる。開発した製品を販売した時点で取引が完了する売切り型の事業の限界を打ち破ることを目標にして、新規事業開発に取り組んだのである。それが、複写機関連製品事業である。

 大口顧客は事務機器を販売していたフランチャイズ・チェーンであり、2000年代後半のリーマン・ショックに至る回復基調の景気を追い風にしてA社の事業も伸長した。ところが、リーマン・ショックによって急速に市場が縮小し始めると、A社の売上も頭打ちになった。同業者の多くがこの市場から撤退する中で、A社はシェアこそ拡大させたが、もはや、その後の売上の拡大を期待することのできる状況ではなかった。

 ところが、A社がこの事業に参入した頃から、情報通信技術の急速な進歩に伴って、事務機器市場が大きく変化してきた。そのことを予測していたからこそ、A社長は、後進に事業を委ねる条件が整うまで自らが先頭に立って、新規事業や製品の開発にチャレンジし続けているのである。

 これまで幾度かの浮き沈みを経験してきた同社であるが、営業職や事務職、人事・経理・総務などの管理業務を兼務している者を加えた約50名の社員のうち、技術者が9割近くを占めている。創業以来変わることなく社員の大半は技術者であるが、売上が数十倍になった今日に至っても従業員数は倍増程度にとどまっている。

 従前A社では、電子回路技術部門、精密機械技術部門、ソフトウェア技術部門と専門知識別に部門化されていた。しかし、複写機関連製品事業が先細りになった頃から、製品開発部門、品質管理部門、生産技術部門に編成替えし、各部門を統括する部門長を役員が兼任した。製品開発部門は、環境エネルギー事業の開発を推進するグループ、法人顧客向けの精密機械を開発するグループ、LED照明関連製品を開発するグループに分けられ、電子回路技術、精密機械技術、ソフトウェア技術などの専門知識を有する技術者をほぼ同数配置した混成チームとした。品質管理部門と生産技術部門には、数名の技術者が配属され、製品開発部門の業務をサポートすると同時に、複数の生産委託先との調整業務を担っている。

 絶えず新しい技術を取り込みながら製品領域の拡大を志向してきたA社にとって、人材は重要な経営資源であり、それを支えているのが同社の人事制度である。

 その特徴の一つは、戦力である技術者に新卒者を原則採用せず、地元出身のUターン組やIターン組の中途採用者だけに絞っていることである。また、賃金は、設立当初から基本的に年功給の割合をできるだけ少なくして、個人業績は年二回の賞与に多く反映させるようにしてきた。近年、いっそう成果部分を重視するようになり、年収ベースで二倍近くの差が生じることもある。それにもかかわらず、A社の離職率が地元の同業他社に比べて低いことは、実力主義がA社の文化として根付いていることの証左である。とはいえ、その一方で家族主義的な面も多く見られる。社員持株制度や社員全員による海外旅行などの福利厚生施策を充実させているし、1990年代半ばには、技術者による申請特許に基づく装置が売れると、それを表彰して売上の1%を報奨金として技術者が受け取ることができる制度を整備し運用している。

 このように、A社は、研究開発型企業として、取引先や顧客などの声を反映させていた受け身の製品開発の時代から、時流を先読みし先進的な事業展開を進める一方で、伝統的な家族主義的要素をも取り入れて成長を実現している企業だといえる。

 

 

A Question of Honour ―― 平成30年二次試験「再現答案」など。




BGM

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<事例I>

与件文(全文)

平成30年 事例I 与件本文

 

【第1問】 20点

研究開発型企業であるA社が、相対的に規模の小さな市場をターゲットとしているのはなぜか。その理由を、競争戦略の視点から100字以内で答えよ。


理由は、規模の小さい市場のため新規参入者や代替品の登場による経営の不安定化を回避し易いためである。また、外部環境の変化に対しても、事業の安定化が比較的容易であるためである。

【第2問】 40点
A社の事業展開について、以下の設問に答えよ。
(設問1)
A社は創業以来、最終消費者に向けた製品開発にあまり力点を置いてこなかった。A社の人員構成から考えて、その理由を100字以内で答えよ。

理由は、人員構成の9割近くを技術者が占め、最終消費者のニーズを収集する営業部門が弱いためである。そのため最終消費者向けの製品開発は、A社の中核能力を活かせない事業となると判断したためと考えられる。

(設問2)
A社長は経営危機に直面した時に、それまでとは異なる考え方に立って、複写機関連製品事業に着手した。それ以前に同社が開発してきた製品の事業特性と、複写機関連製品の事業特徴には、どのような違いがあるか。100字以内で答えよ。

違いは、以前に開発してきた製品は売切り型の事業であり収入源としては安定しなかったのに対し、複写機関連製品事業は本体の販売後も、複写機トナー等の消耗品の販売も可能であり、安定した収入源となる点である。

【第3問】 20点
A社の組織改編にはどのような目的があったか。100字以内で答えよ。

目的は、事務機器市場の変化に対応して先進的な事業展開を進めるためである。具体的には、①各部門を統括する部門長を役員が兼任、②技術者の混成チーム結成により、経営資源の市場適応を、有効なものとした。

【第4問】 20点
A社が、社員のチャレンジ精神や独創性を維持していくために、金銭的・物理的インセンティブの提供以外に、どのようなことに取り組むべきか。中小企業診断士として、100字以内で助言せよ。

取り組みは、生産や販売の委託先企業との交流機会を設定し、社員のチャレンジ精神や独創性の維持を図る。それにより、時流を先読みし先進的な事業展開を、長期維持可能なものとする。

<事例II>

【第1問】 25点
B社の現状について3C(Customer:顧客、Competitor:競合、Company:自社)分析の観点から150字以内で述べよ。

仕事や執筆・創作活動のために訪れる宿泊客を顧客とし、歴代のB社社長たちが支援してきた芸術家による美術品を配置した、文化の香りに満ちた施設を有することで、駅前のチェーン系ビジネスホテルと差別化している。一方で、拡大するX市の観光需要を、B社だけが享受出来ていない事実もある。

【第2問】 25点
B社は今後、新規宿泊客を増加させたいと考えている。そこで、B社のホームページや旅行サイトにB社の建物の外観や館内設備に関する情報を掲載したが、反応がいまひとつであった。B社はどのような自社情報を新たに掲載することによって、閲覧者の好意的な反応を獲得できるか。今後のメインターゲット層を明確にして、100字以内で述べよ。

インバウンドを含むX市観光客に対し、①歴代B社社長たちが支援してきた芸術家の美術品や、②宿泊客から好評を得た日本を感じられる朝食の情報を掲載し、好意的な反応を獲得する。

【第3問】 25点
B社は、宿泊客のインターネット上での好意的な口コミをより多く誘発するために、おもてなしの一環として、従業員と宿泊客の交流を促進したいと考えている。B社は、従業員を通じてどのような交流を行うべきか、100字以内で述べよ。

従業員の英語力を活かし、インバウンド客に対してX市内の観光案内をすることで交流する。SNS投稿に向く伝統を思わせる和菓子や歴史ある街並みを従業員が同行することで、好意的な口コミを得る。

【第4問】 25点
B社は、X市の夜の活気を取り込んで、B社への宿泊需要を生み出したいと考えている。B社はどのような施策を行うべきか、100字以内で述べよ。

施策は、宿泊客から好評を得た朝食のノウハウを活かし、夕食の提供を行う。地域の祭や名刹を訪れる観光客に事前予約なしでも提供し、顧客と関係を持つ。そして、宿泊客となるよう顧客生涯価値の最大化を図る。

<事例III>

【第1問】 20点
顧客企業の生産工場の海外移転などの経営環境にあっても、C社の業績は維持されてきた。その理由を80字以内で述べよ。

理由は、金型設計・制作部門を持ち、技能士など資格取得者を有し技術力を強化したことで、顧客企業のコスト削減ノウハウを蓄積し、工業団地内企業とも協働可能なことである。

【第2問】 20点
C社の成型加工課の成型加工にかかわる作業内容(図2)を分析し、作業方法に関する問題点とその改善策を120字以内で述べよ。

問題点は、作業員の作業時間の5割が手待ちとなっている点である。改善策は、①連合作業分析により人と機械の効率化、②内段取りを外段取り化、することで顧客企業からの短納期化、小ロット化、多品種少量化の要求に対し、経営資源を有効に活用していく。

【第3問】 20点
C社の生産計画策定方法と製品在庫数量の推移(図1)を分析して、C社の生産計画上の問題点その改善策を120字以内で述べよ。

問題点は、製品A以外の製品も含んだ、全体最適観点の生産計画の不在である。改善策は、①ロットサイズ適正化のために、日程毎柔軟に生産計画を見直し、②混合生産体制を効率的に稼働させるため、他製品の受注情報も生産計画に反映し、過大な製品在庫を抑制する。

【第4問】 20点
C社が検討している生産管理のコンピュータ化を進めるために、事前に整備しておくべき内容を120字以内で述べよ。

事前に整備すべきは、各置き場で探し、移動し、準備する作業に長時間を要している金型、使用材料の位置の確定である。段取り時間の短縮などの改善のため、作業員が効率よく金型、材料などを使用できる環境を実現し、生産計画のIT化を効果的なものにする。

【第5問】 20点
わが国中小企業の経営が厳しさを増す中で、C社が立地環境や経営資源を生かして付加価値を高めるための今後の戦略について、中小企業診断士として120字以内で助言せよ。

戦略は、国内に戻る傾向にある企業に対し、①顧客企業一社からの受注に成功した高度な成形技術、②工業団地内企業との共同開発可能な立地を生かし、顧客企業のコスト削減を実現する高付加価値製品を製造する。そして長期的に顧客企業の利益最大化を図っていく。