机上に踊る胆と熱

中小企業診断士試験についての(役に立つ)所感

提出先を間違う = コジらせる

 

 

 診断士・二次試験ですけれどもコジらせますよね、突然ですが。

 私の場合は二次試験、14カ月を投下したんですけれども、その内12カ月は、そんな状態でした・・・・・もう「なにがナンだか解んない」という、ね。そんな感じです。そして、さらに突然ですが、ココで問題です。以下問題の空欄を埋めてください。

 

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【問題】

中小企業診断士・二次試験とは、(      )に対して提出する経営診断報告書である。

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 はい、この問題なんですけどココで、この空欄に、「社長さん」とか入れちゃってる間はこの試験、コジらせます。少なくとも経験談では、そう言えるんですけども本日は、そんなお話です。  

 ところで診断士試験の二次ですが、学習していると「なんでコレが正解なんだろう」てな模範解答に、遭遇することが多いですよね。A社の課題を問われた際に、ですよ・・・・・与件文を読んで例えば、設問をあたる際に「ええと『社員の長期雇用のため』が設問要求で、正規社員と比べて非正規社員が多いからA社は、社長へ診断書を提出するならば、ええと」とか考え始めて、「この社長はたぶん、お金にウルサイ人なんだろう。だから非正規雇って人件費をウカせようーとかしてんだろう、だから」になり、そして「だから、ええと、長期雇用の課題は」てな方向に思考がイクんです。「ええと、緊張するなあ、どう、伝えればイイんだろう」で思考グルグルになりますが、なにせ二次試験とは、ダダンッ、

 

「社長へ提出する診断書です」(キリッ)

 

 とこう、言われて(脅されて)いるわけです。緊張感ゆえに社長さんに対し真面目な方ほど、解答を細かくいこうとか、スルんですよね。だって、そうですよね何せ、社長へ提出するんだもの。中小企業の命運がかかってますし、「相当細かくエレガントなソリューションを書かないと」になるってば、思考はどうしても。そうでしょう?そうですよね。

 なのに、でも、ああなんで、どーして・・・・・以下は涙なしには読めないんですが模範解答には、「組織文化の活性化を図る」とかが正解になっており、「ええ!?」になるという・・・・・・・・・この「ええ!?」は経験者ならば、解りますよね。ドレミファで云えば〝シ〟音階くらいの「ええ!?」であり、「答えってこんな程度でイイの!?」という衝撃波を伴います。正解ですが、しかも満点の模範解答ですが、そこに漂うアッサリ感が、ハンパない・・・・・それがこの試験なんですよね。  

 それでは、空欄に埋める言葉はいったい、何でしょうか。答えにいく前に関連する余談などを披露しましょう。

 先日、経営者仲間を訪れた診断士クンがいたんです。そしてココに、経営者と二次試験正解との間の、ギャップの一端を見るんですけども、さて、この診断士クンですが、知人経営者を1時間ヒアリングして後、キリッとした表情で「社長」と、こんな提案をしてきたんだそうです。

 

「社長、御社は解決策として、名刺に、

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・顔写真を入れましょう」

 

  ・・・・・事例IIかっ、さつまあげ事例かっ。なんですが「これでカネ取るのか」と経営者友人は爆笑してましたけれでも、ま、これ、二次試験では正解ですよね。でも正解は正解でもそのレベルを「具体的ソリューション」とか思いこんでいる受験生がもしもあらば、そいつは中小企業社長を、ナメ過ぎてます。それでもこれが、正解になる世界が二次なんでして我々はこんな、あっさり感に悩むという。あるいは解決策として「ニーズ収集とぉ〜適切な市場選択ですよぉ〜」なんて言ってりゃ試験としては正解でも社長にすれば、「そんな事は分かってんのよ」に、なると思います。「そのニーズ収集と適切な市場選択だけど、そんなことは分かってんの。でも、その方法が分かんないで困ってる」「あんたから教えてもらいたいのは、どーすりゃ出来るのかの、具体的アドバイス

 ・・・少なくとも私はそう聞き返すでしょうし、経営者仲間も同じ事を、聞き返すと思うんです。

 飛び飛び話をまとめますがあの、「二次試験とは」に関する呪縛、つまり、「社長が実行可能なものを提案する。これこそが、二次試験」と言う思い込みですが、これを脱する事が試験直前2カ月の私の課題になってました。この思い込みに囚われてる間は、すなわち「社長が読むんだ、社長へ提出する提言だ」な方向を追い求めたりすると、制限時間も字数も足りなくなると言う、そんな試験と化していたわけです。「二次試験とは中小企業社長への提案書である」・・・・・・そう言われてましたんで今までの私は、例えば解答をする際に踏み込んだ内容を志向してました。つまり、模範解答からすると、かなり飛んでいたワケです。詳しくのべれば模範解答レベルでは社長から笑われる、と判断しもう少し踏み込んで解答欄に、「ニーズを把握するための具体案」とか「得意技術を活かせる具体的市場名+その理由」とか、そんな事を記述しようとしてたんですね。そして結果、制限字数や時間に追われてたと言う・・・  模範解答はあっさりしてんのに。

 

 話は最終章です。そして正解の発表です。空欄内に入る言葉ですが正解は、社長ではなく「学者」です。提出先を間違えますと、この試験はコジらせます。そして本日のお話は、ここまで。